先日、製造業向けコンサルタントの方とお話しする機会がありました。

日本の人口減と高齢化による人手不足の深刻化など、少し前から言われていたことがここにきて現実になりつつある、という話になりました。

その方は「企業の定年による大量離職に危機感をもった」と仰っていましたが、私などは卑近なところで飲食店のオーダーがなかなか通らないことに人員獲得難を肌で感じます。

スマートファクトリー、AI活用など、ものづくりの世界にもバズワードがありますが、その技術を活用すると更に便利になるというよりも、活用しないと課題が解決できない、という時代が確実に来ているようです。

日本の製造業が世界において存在感を失いつつあるという話も耳にしますが、そのコンサルの方の言葉が印象的だったので共有させて頂きます。

「メーカーが素晴らしいのは、ものをつくりだすプロセスを持っていることである。開発して設計し、調達して製造した後に売って届けて修理もする、この流れを作りだせることそのものが、そのメーカーのアセットである」

「ものづくり」ではなく「ことづくり」が大切、製品を売るのではなく製品を通じた体験を売るべし、などと言われて久しいですが、そういうことか!と腑に落ちました。

コンセプトがいい、開発力がある、教育が優れている、情報共有されている等、メーカーの強みは色々ありますが、すべてはつくり出すというプロセスにおいて優れた点であり、プロセス自体の進化に意識を向けると、強化したいポイントも変わるような気がします。ものを作れるということそのものがメーカーの強み、そう考えると、M&Aや事業承継を考える上でも組み合わせや対象領域がぐっと広がるように思います。また、自社のアセットに気づくためには、単なるデータやマッチングだけではなく対話が必要になってきます。そう考えると人や組織を扱う我々の仕事はもうしばらく存続するのかな、と思った夜でした。(黒川)