書道を習い始めて今月で1年になります。
以前からやってみたいと思ってはいたものの、どこで習えばよいのかわからず長年そのままにしていたのですが、知人の紹介でご縁を得て毎月1度関東へ上京される作家の先生に教えて頂いています。

書道を始めてしばらくたって思ったのは、文字を書く道具として、筆がいかに素晴らしい特性を備えた道具であるかということです。
鉛筆やシャープペンシルによって書かれる文字と違い、力や角度、スピードによってこんなにも色々な表現ができるのかとびっくりしました。
おかしな姿勢で間違った筆の持ち方をしていると、どう頑張っても先生のお手本通りに書くことができません。練習しながら体感覚として「こういうことかな」と理解すると、そういう感じの線(?)が書けるようになるようです。
言葉にするともどかしいのですが、思っていた以上に動きが立体的かつロジカルです。筆の構造や特性を説明して頂く前と後では、書ける線が違うのが本当に不思議で面白いです。小学校の書道の時間にこんな風に教えてもらっていたらもっと字がきれいだったかもしれないし、単純に筆をとるのが面白かっただろうなと思います。

また文字の意味についても「分かって書いている」のと「何となく書いている」のでは美しさや力強さが全然違うのも大変な驚きでした。身体も心も頭も使うため、とても集中しなければならず、お稽古の時間はあっという間に過ぎてしまいます。
先生は大変立派な作家さんなのですが、一人一人を大変丁寧に教えて下さいます。基礎練習を大事にされていること、様々なレベルの生徒さんが同じ教室にいるので他人のご指導を聞いているだけでも大変勉強になることも、私が通っている教室の素晴らしさだと思っています。

まだ始めて1年ではありますが、習研の本に自分の作品が載れば単純に嬉しく、この歳で褒められたり、もっと上達したいと願うものがあること自体、とても幸福なことだと思っています。(黒川)